気軽に大人の絵画教室05

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ティッシュの箱を描いてみる

よく見る練習かな

物を描くには、対象物をよく見なくてはなりません

当たり前だろ、何を言ってるんだか

取りあえず描いて見ましょう。単純な形の物、直方体を描きましょう。ティッシュの箱とか煉瓦とかお菓子の箱とか、なるべくエッジがはっきりしている物が良いと思います。実際の教室では、ダイソウの発泡スチロール製レンガの白いやつを描きました。出来れば白い物、無ければ出来るだけ薄い色で模様のない方が楽ですが、わざわざ買わなくてもティッシュの箱があれば、それで結構です

四角い箱を台の上に置いて、描く位置から三つの長方形の面が見えるようにします

紙に箱を一個だけを描くので、あまり小さくならないように、そこそこ大きく、紙からはみ出さないように全体を入れて描いて下さい

見る練習です。頑張ってそっくりに描いて下さい。柄やら何やらではなく、大事なのは箱の形です。どういう形なのか、しっかり写し取って下さい

描き上がったらどの様に描けたか、確認をしますので、以下に進む前にまず、自分で良しと思うまで、存分に描いてから、その絵がどうなっているかを確認します

 

ここから確認作業になります

出来上がった絵の上に、コピー用紙を乗せて、透けて見える箱の絵の辺を、定規を当てて鉛筆でなぞります。9本の辺があるはずなので、漏れなく線を描き、線だけで描いたシンプルな箱の形を抽出します

どうですか?実物にそっくりですか?

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確認作業

①絵の上にコピー用紙を乗せるので、とても見づらいとは思いますが、9個の辺を定規で写し取って下さい

②赤の3本の線、緑の3本の線、青の3本の線、これらは実際の箱においてはそれぞれ平行線であるはずです。この図を参考に赤、緑、青それぞれ三本の線のうちの真ん中の線と平行な線を他の線の所に引いて下さい。細い線が平行な線です。ここでは解りやすいように赤青緑で色分けしていますが、皆さんは鉛筆の黒一色で結構です

③すべての辺を、箱において平行な所を平行に描くとこうなります。平行な線はそれぞれ同じ長さです。何か変な感じがしませんか?

⑤私が描いた形です。まあ、立体的に見えます、よね?

どういう事でしょう。遠近感が表現されていると立体的に見えます。遠近感って何?どうやって表現するのでしょう。これは、私たちが生活する中で経験的に感じ取っているが、普段は特に意識してなどいない近くの物と遠くの物の見え方の違い、これが遠近感です。物は、近づくと大きく見え、離れると小さく見える。遠くより近くの物の方がハッキリ見える。他にもあると思いますが、ここでは形を抽出しての考察なので、大きい小さいについてです。道に立ち並ぶ電柱を思い浮かべて下さい。近くの電柱は見上げねばなりませんが、向こう頼頼の方に離れるにつれてどんどん小さくなっていきます。⑤は手前側の辺が同じ長さのはずの他の辺より長く表現されているので立体的に見えるのに、③は遠近に関わらず同じ長さの辺が同じ長さに描かれた為に、遠近の差が感じられず立体的な直方体の箱には見えません

⑥辺の長さの見え方の差を強調したので、ティッシュの箱というより大きな建物の鳥瞰図といった感じです

④ちょっとやり過ぎの感がある⑤を、少し③の方向に寄せました。この方がティッシュの箱らしいかな

⑦あなたが描いたのは、ひょっとするとこんな感じですか?視点が定まらず、それぞれの面を覗き込んで見て描くとこんな感じになります。多かれ少なかれ、慣れない方はこうなる傾向があるようです

要は、視点を動かさず見えるままに描けば良いのです。でも近くにある物は右目と左目では視点がずれるため形が違って見えるのに、頭の中でそれを合成して一つの画像として認識しているわけです。ですから良く見ようとすればするほど、どうすれば良いのか解らなくなってしまいます。そんな時は手を止めて、描いている絵を対象物の横に置いて見比べます。おかしいと思った所の形を修正し辻褄を合わせます。そっくりに描かれた絵を見て「写真の様だ」とおっしゃる方がいますが、写真は単眼(一つのレンズ)で写しますが絵は二つの目で見た二つの象を無理矢理一つの画像にしているという違いがあります。「写真」と「絵の写真」を並べて見比べると、「写真」は両目で見ても片目で見ても片目でみた写真ですが、「絵の写真」は片目で見ても両目で見ているような立体感があります。それが描かれているからです

テレビに出演している人を、実際に会って見ると、テレビで見たときより細く痩せて見えるそうです。身の回りの物が、右目だけ、左目だけ、両目、でどう違って見えるか観察してみましょう

面倒くさいですね、絵を描くってのは

次回は、世の中がどう見えているのかについて少し